「事故物件 怖い間取り」を見てきました。
個人的に原作を題材にした漫画作品「ゼロから始める事故物件生活」にちょいと思い入れがありましてあまりホラー映画は得意では無いですが見る事に。
あ、ちなみに、原作の松原タニシ氏の「事故物件怪談 恐い間取り」も未見です。なんで結構話題作っぽいからーって感じで見た感も強いんで、割と前情報とかは無い状態で見に行ってます。その上での感想です。
久しぶりにすごい人だった
ここ最近、コロナだなんだで映画館自体が閑散してる雰囲気だったけど、公開初日の土曜っていうのもあるのかかなり多くの人がいた。ていうか去年のアカデミー賞取った映画よりも人の入りは多かったと思う。んで、おそらくだけどジャニーズ(亀梨くん)のファンっていう層がかなりいたと思われる。とりあえずジャニーズってブランドはやっぱ強ぇなと。
ホラー映画では無い。でもジャンルが定まってない。
まず、一発目に辛辣な事を言ってしまうんだけど、ホラー映画だと思って見に行ってて、開始30分ぐらいで
「あ、これホラー映画じゃねーわ!!」と気付かされる。それに気づいた段階からちょっと萎えてしまい、その後ダラダラと見てしまった感はある。
んで、見た後に思ったんだけど「ホラー映画」として期待して見ちゃったからこんな微妙な気持ちになったんだろうな…と。
もし30分の段階で見方を自分の中で変える事が出来たなら、もう少し違った感情だったのかもしれない。
でも、この映画のトレーラーって完全に「ホラー」として宣伝してるわけで、見に来てる人のほとんどがその心持で来てたと思う。だから、映画が終わった後の会場の「失笑感」がすごかったし、その失笑感を会場一体で感じれた事が心地よかったぐらい。ではこの映画のジャンルは一体なんなのか?そこが問題である。
正直、作ってる方も「ホラー」っていうジャンルで作ってはいないんじゃないかと思う。でも、明確なジャンルも決めていないと思う。
エンタメなのか、ドキュメンタリーなのか…そういった方向性のとっ散らかりっていうのを感じた。要は原作を気にしすぎ。
原作はお笑い芸人の企画から
まず、この原作だけど松原タニシ氏の「企画」が原点で、これは「お笑い芸人」の「怖い」っていう「新しい面白い」なんだと思う。
だから、かなりエンタメに近い所にいるものだと思うわけで。テレビのバラエティとかの「ぞっとする話SP」のような深夜番組的ノリの盛り上がりだと思う。
そもそもが「企画」からスタートしている「エンタメ」を題材にしているんで、それをベースにして作ると出来上がるものも「エンタメ」だろう。その辺の方向性の乖離のようなモノがこの映画が中途半端になっている要因だと個人的に思う。
フォーカスする部分が違えば良作になったのかもしれない
原作や漫画、それに松原タニシ氏の公演等。それらは「何故、不可解な出来事が起きるのか、何故、事故物件になったのか」という部分にフォーカスをしているように思う。
「人間臭い理由」っていうのが身近だし、身近だからこそ怖いっていう。心霊現象云々はただの入り口でしか無くて、その背景を知ったりする事に楽しさがあるのだと思う。
ただ、この映画に関しては、そこにはあまりフォーカスしていない。芸人と、心霊現象にフォーカスしてしまっている。原作等で面白いであろう部分はかなりあっさりとしている。
原作や漫画でも印象的だった「排水溝の髪の毛」のエピソード。母親を殺してしまった息子の話。これに関しては映画でも印象的に取り扱われている。
おそらく、このシーンが一番心理的にきつく、グロく、胸糞悪い。明確に不快感を感じるシーンだった。もしこの映画が全体を通してこの部分にフォーカスしていたなら
胸糞ジャパンホラーとして良作になっていたかもしれない。しかし、実際にはその後の、エンタメ的ホラー心霊現象にがっつりフォーカスしてしまっていて、自らチープにしている感が否めなかった。
「劇場版 本当にあった怖い話」っていう感じ
全体を通して感じたのは「本当にあった怖い話」的なクオリティという事。これが一番しっくり来る表現だと思う。全年齢対象の怖い話っていう印象。
調べてみると、監督さんはあのJホラーの金字塔「リング」の監督であると同時に、「本当にあった怖い話」がデビューとの事。逆にそこに驚いた。
自身も「リング」のせいでホラー監督と思われがちだけどそんな事は無いという事を公言しているようで監督さんの想いや姿勢を知ると、この「事故物件」という映画の方向性は、凄くそれが強く出ている作品なんだと感じた。
亀梨くんの演技は良い
本家の松原タニシ氏の見た目が、ジャニーズマジックで亀梨くんになった事で、見る前から若干不安に感じたポイントだけど、かなり亀梨くんの演技や見た目は良い意味でジャニーズっぽさを感じず、素直に演技うまいなー。イケメンやなーと思ってみていた。それ意外のキャストだと…特に印象に残った人がいないのが正直な所。あと随所に松竹芸人だったりが出てくるんだけど
これのせいで余計にエンタメ感と失笑感が強くなる。そのシーンいる?っていうのが結構多かった気がした。
全体的に「日テレ」感のある感じというか。制作は松竹芸能だけど。
まとめ
とりあえずホラー映画だと思って行くとかなりがっかりするんで覚悟していきたい。ではエンタメよりで構えていたら面白いか?と言われるとそうでも無い…後半の展開も狙ってはいるんだろうけど、ぶっ飛び具合が足りず、非常に中途半端でチープ。全体を通して感じる地上波ホラー特番の再現VTR感。なんとなく入れたラブコメ。などなど。結構苦痛な映画だと個人的には感じた。亀梨くんファンだったら楽しめたのだろうか。。。